第2章 鋼の錬金術師*エドワード・エルリック 「その表情の下に」
今回の目的地は、『賢者の石を作っている』という噂のある町だ。
この情報はマスタング大佐からのものなので信頼できる。
3人でその大して大きくもない町を歩いていた。
「人がいませんね。」
「あぁ、これじゃ噂を確かめることも出来なさそうだな。」
「ねぇ、お店とか入ってみようよ。もうすぐお昼時だし2人ともお腹空いたんじゃない?」
「そうですね。お店なら店員がいるので何かしら聞けるでしょう。」
アルの言葉に志弦がそう言うと、エドも賛成した。
とりあえず目に入った飲食店に入ってみることにした。
「あんたら、この町の住人じゃないね。出ていきな。」
店に入ると同時に店員であろう年配の女性がナイフを構えて言ってきた。
「ナイフを下ろしてください。私は軍の者です。」
志弦は静かにそう言って一歩前に出た。
「軍の?」
「はい。」
その女性はナイフを置くと涙を流して志弦に縋ってきた。
「ダメなんです。通報しちゃダメなんです。なんで誰が通報を?私はしてないですからね!!」
「お、落ち着いてください。」