第2章 鋼の錬金術師*エドワード・エルリック 「その表情の下に」
志弦の怪我は軽いものではなかったが、命に別状はないそうだ。
エド、アル、ヒューズはまだ眠り続ける志弦の病室にいた。
「なぁ、さっきこいつが言ってたんだけど、脅迫状ってなに?中佐は知ってたのか?」
「あぁ。ロイのところに脅迫状が届いたからしづがお前らの護衛として来たんだ。」
「脅迫状の内容は、オレらの秘密をバラすってことだったんだろ?」
「そうだな。それで国家錬金術師を辞めなければ殺す。という内容だったらしい。」
エドはそれを聞くと、俯いて拳に力を入れた。生身の左手が白くなるほど強く、機械鎧の右手はネジがキリキリと音を立てるほど強く。
「こいつが死にそうになってるのってオレのせいってことかよ。」
「それは違う。あいつは真面目だからロイに言われた任務をこなしただけだ。お前らは脅迫状のことは知らされてなかったわけだし、防ぎようがなかった。そうだろ?それにしづはそんなやわじゃない。こんなんで死ぬわけがねぇんだよ。」
エドは静かに頷いた。
「あとさ、これからもこいつと一緒に旅してやってくれないか?」
「え?」
アルはそう言ってヒューズを見た。
エドも驚いている。
「昨日も言ったろ、こいつは感情を表に出せないんだ。でも、お前らと一緒に旅をして、いろいろなものを見たりすればまた感情が出てくるかもしれない。ロイはそれも狙ってるんだ。頼めるか?」
「あぁ、」
エドは頷いた。