第2章 鋼の錬金術師*エドワード・エルリック 「その表情の下に」
戸を叩くと、中からグレイシアさんが出てきて家の中へ入れてくれた。
「お邪魔します、グレイシアさん。これ、気に入ってくれたそうで、そんな大したものではありませんが。」
「ありがとう。」
家の中ではエドとアルがエリシアの遊び相手になっていた。
あまり普段から子供と関わっていない2人はすごい大変そうだった。
「あ、しづお姉ちゃん!!」
「お久しぶりです。エリシアちゃん。覚えていたのですね。あ、そうだ。これ、エリシアちゃんにプレゼントです。もしかしたら似たようなものを持っているかもしれませんが。」
志弦は先程買ったぬいぐるみの袋をエリシアに渡した。エリシアは袋を開けて中を確認すると満面の笑みを浮かべた。
「うさぎさん!!」
「おお、うさぎのぬいぐるみか。これは持ってないな。ありがとう、しづ。」
「いえ、こちらこそお邪魔させていただきありがとうございます。」
志弦はそう言って頭を下げた。
「しづお姉ちゃん、一緒に遊ぼう。」
志弦は頷いてエリシアに着いて隣の部屋に行った。
エドは隣の部屋から聞こえて来る志弦とエリシアの声に耳を澄ませた。
ヒューズがいなくても、志弦はエリシアに対して敬語らしい。
10歳以上年下の子供に敬語を使う必要性を感じない。
「あいつ、普通に話せねぇのかよ。」
エドはそう呟いた。
決して声に出すつもりはなく、心の声が漏れ出たというような感じだ。
が、ヒューズには聞こえていたらしい。