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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第6章 その身体に刻まれた過去




瞬時に優弥が蹴り倒して逃げやすいようにしてくれたのだと解った。



木箱を開ければ、鬼2体が男ら10人程に囲まれて乱闘中。




その中に優弥の姿もあったが強く「今だ!」と訴えてるのが波動で解った。



涙はでなかった。

ただ無我で走った。


足にどんなに痛みが走ろうと走り続けた。






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「日輪刀も持たない状況でしたので……
その方は亡くなったでしょう。


わたしは、わたしを逃がしてくれた人を残して逃げました。


最後に自由になって死ぬ場所を求めて走っている時………

あなたに助けられました。」



「そいつは、出来れば桜華に生きててほしいって思ったんだろ。

男としてやりきったんだ。桜華はそいつの分も笑って生きればいい。」



「………はい。」


猗窩座は涙を流しながら拳を握る桜華の手を優しく引いて腕の中におさめた。


全てを打ち明けて、やっと心が晴れたような気持ちになっていた。


最後の声で聞きたかった答えを求めて腕の中で問う。


「こんな、女として傷物になり下がったわたしでも愛してくださいますか?」



優しい波動、表情
答えはそれらで解ってても言葉で聞きたかった。


猗窩座は、抱いてた力を緩めて、その華奢な女の身体を胡座の上にのせて、己を映す女の瞳を見つめた。


「俺こそ他の鬼より人間を喰らって生きてきた鬼だ。

過酷な状況を生き抜いた桜華は

俺を受け入れて

俺に忘れていた人の心を取り戻させてくれた。」


目にじわりと涙を浮かべた桜華の腰を左手で抱き寄せて頬を右手で優しく包むように撫でた。

そして強さの中に優しさを滲ませた目で見つめる。


「もう、二度と………

死にたいなんて言わせない。思わせない

ずっと………俺の隣で笑ってろ。」


桜華は一瞬目を見開いたが、涙を浮かべたまま笑顔で「はい。」と答えた。




「………好きだ。愛してる。」




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