第6章 その身体に刻まれた過去
洞窟の中、約束していた事を話すといって、二人は並んで座った。
今はもう亡き400年続いた桜華の生家のこと。
話が少々長くなるかもしれないが知っていることは話しておきたい
そう思っていた。
黒死牟襲来の当時、桜華はまだ元服の齢も達していなかったがために家のことを全部知ることを許されていなかった。
だとしても、財閥の代表の一家としてその家にしか知らされていないことも多く、そんな機密事項も家がない今はもう守っていてもどうしようもないこと。
わたしは一呼吸おいて話し始めた。
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日神楽財閥は代々家族経営で、15歳を越えてから教育として見習いとして秘書の段階から事業運営に参加する。
女子も経営の才能があれば婚姻後も役員として働けるところ。
桜華の家族は両親と父方の両親、そして双子の兄一人と弟妹の8人で住まい、両親が代表と補佐を勤めていた。
代表の家族の他にも親戚や従兄弟がいて代表一族と代表の兄弟一族合わせて10人もの役員が存在した。
ほとんどがかなりの人格者で、もめ事は今までの一度も起きたことがない。
創業者と代表、代表嫡男の本名はなぜか歴代代表とその両親、奥方そして産屋敷当主のみに知らされていて、日頃は通り名で呼ばれていた。
それらはを一族を鬼から守ることに直結すると400年間固く守られていたが詳細は教えられていない。
産屋敷一族と違って表に出ることが多かった日神楽一族は自前で育てた柱級の鬼殺隊を中心に護衛をつけており、
彼らは、鬼舞辻などに無理やり鬼にさせられたものに一定の理解があるものが多いのが産屋敷一族の鬼殺隊のとの違いだった。
日神楽家の産屋敷一族への関わりは、一族から鬼を出してしまった産屋敷家では男子が30歳を迎えることがないという状況から、
幼い当主の補佐などを当主の母親と共に担う
経営や事業運営の補佐、教授
鬼殺隊への多額の資金援助
と言ったものが大きなものだった。
そしてどの年代も両家の子どもたちはとくに強い接点を持っており、切磋琢磨してまるで兄弟のように育っていた。