第5章 傷と罪は共に背負うモノ
休憩を済ませた後、また夜道を駆け抜ける。
辺りの暗さと空気の温度から、まだ日にちは跨いでないのにかなりの距離を走ってきた。
あまりにも迷いなく進んでいる様子に不思議に思った桜華が尋ねた。
「猗窩座、今どこ向かってるのです?」
「知らん。匂いで追われないように複雑に進路変更して走っている。」
間髪いれずにそう答えたので、迷いはしないのだろうかと不安になった。
「出来るだけ跡が着かないように、鬼との遭遇は避けたい。
走ってても常に鬼の気配に気を巡らせている。
安心しろ。無惨様の任務で全国汲まなく走り尽くしている。」
「それはどんな任務で?」
「青い彼岸花を探す任務だ。鬼になってある程度の位にいる者は言いつけられるが、縄張りを持たない俺がそれを申し付けられることが多かったからな。
強靭な鬼になり、日光を克服する条件になるらしい。」
もう関係のないことだと思ってか、鬼の情報をすんなりと答えた。
桜華がいればなぜか呪いは一時的に解かれる。
それを認識しているのか全て話しそうな迷いのなさだった。
「行っておきたいところでもあるのか?」
「行きたいところではないのですが、お会いしたい方がいます。
鬼舞辻の呪いから逃れられた鬼のお医者様がいるって聞いたことがあるのです。
見た目の年齢は19歳と伺っていて、男性の鬼と姿をくらましながらひっそりと生活してるようです。」
「無惨様が前に言っていたな。確か珠世と言ったか。」
「名前までは聞いていませんでしたが、恐らくその方だと思います。
父と何らかの所縁があるお方です。
わたしがいなくなってから5年以上経っているので居場所を突き止めるのは難しいですが、話をしてみとうございます。
わたしの血についての情報と猗窩座の呪いの解き方が解るかもしれません。」
「わかった。呪いは命にも関わる。俺が死んでは桜華がより危険になるからな。
鬼狩りの本拠地に………行くつもりはないんだろう?」