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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第5章 傷と罪は共に背負うモノ






思っていることが通じてなのか、目を細めて優しく微笑んだ。



わたしの手にあった藍色の指をした手がゆっくりと頬を包んで見つめるから



その色香に心臓がうるさくなってかなわない。




「桜華のいる場所は居心地がいい。

全て記憶をなくして他より人を喰らい生き長らえた俺なのに

それでも受け入れて付いて行くと言ってくれる大事な人を置いて

簡単に死ぬということはしたくない。

最悪の結果が『死』だとしても
最善の結果を『後悔のない死』にしたい。

そして叶うなら人間として桜華と宿命を全うして生きて死にたい」


答えを、わたしの気持ちを言葉にするのを待ちきれない様子で右手の親指が唇を優しくなぞり

縋り付くような欲持った碧い眼が

心を締め付けて離さない


「今のあなたの心は…紛うこととなく人間でございます。

そのように思って下さるのなら……尚のこと、

鬼の皮を脱げるよう、一緒に日の下を歩ける道を………
共に探していきとうございます。

お慕い申し上げております。」



今までにないような優しい泣き笑いの笑顔を見たのは一瞬。


美しい色香を纏った鋭い眼に射抜かれ


溶けるような温度の唇が重なった。




紅梅色の睫毛に細められた碧に包まれる黄色の瞳の揺れが儚くて眼を閉じられない。


その眼が再び妖艶さを纏う笑みを帯びた。


猗窩座の舌がぬらりと塞いだ唇をなぞって這わせるから身体の奥が疼いてしまう。


「ん…ぅ……」



その瞬間、口内に猗窩座の指が入ってきて、咄嗟に引こうとしたら後頭部を押さえられ


口の中に入ったその尖った爪がスッと浅く傷を付けた。

「んん……!」


指が入ったことでできた隙間から口内に入れ代わりで侵入してきた舌がその傷口から溢れた血を掬うように舐めとって、じゅるると吸いあげ


「桜華の血」


「甘いな…」


と、わたしの血で艶めかしく口の周りを染めている。

その音と言葉が聴覚を刺激して全身に甘ったるい電流を走らせた。


再び口付けられて、唇を割って舌が入ると
耳を塞ぎたくなるような媚声が漏れた。




気づけば、腰に回された手が猗窩座に引き寄せられ、自らもその背中に腕を回していた。



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