第5章 傷と罪は共に背負うモノ
「聞こえる……。」
「わたしを呼ぶ声。」
わたしは…
弱い心を捨てて…………
もう二度と彼が道を踏み外さぬよう
お支えして参りとうございます。
御父様、御母様、御兄様、そして産屋敷様
この血筋にて
この人生、命にかえて
わたしの生まれ持った特異体質が故の責務を全うし
この方の人生に寄り添うことを御許しください。
「桜華………」
わたしを守って一緒にいてくれた大切な人の声
わたしはゆっくりと目蓋を上げた。
「………猗窩座。……ただいま。」
青い目の黄色い瞳が揺れて涙が滲む。
「………っ…馬鹿野郎。……俺を一人にするな。」
壊れるほど強く抱き締められた腕の中。
優しさと愛を感じてしっかりと抱き締め返した。
カタカタ震える体は暖かい。
だけど脆くて壊れてしまいそう。
「はい。もう二度と………一人にはいたしません。」