第5章 傷と罪は共に背負うモノ
「わたしは狛治さんがいいんです。
わたしと夫婦になってくれますか?」
「はい。俺は誰よりも強くなって
一生あなたを守ります。」
優しい色の小さな花が揺れるような恋雪の笑顔は
夜空に咲く花火に照らされて彩られ
二人を祝うようにその年の夏の終わりを飾る終演の花火が轟音を立てて鳴り響いた。
照らし出された二人と、照らす花火が絵画のようで
美しく儚く心に染み渡る。
拗れた感情なんて必要ない。
そんな稚拙な感情が支配することを許さないほどに
わたしの胸を撃ち振るわせて
知らず知らずに涙をこぼした。
でも、あなたが見せたくて伝えたいのはこの先でしょ。
でなきゃあなたはそんなに辛そうな声を出せないはずだから。