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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第5章 傷と罪は共に背負うモノ




花火も終盤に差し掛かった頃


話を切り出したのは狛治だった。


「本当に俺でいいんですか?」


自分という人間が誰かに特別な想いを抱かれてもいい人間なのか、ずっと不安だったのだ。


ましてや、狛治自身も長らくつきっきりで看病していたし、一番一緒にいた相手。


どこかで愛されるしかくなんてないと思って諦めてた部分もあったからこそ出た質問。


恋雪は自分の想いを告白した。


「子どもの頃、花火を見に行く話をしたの、

覚えていますか?」

「え、……いや、……………えーっと…。」


覚えてないらしく返答に困る狛治に笑みを浮かべ、

病床の事を思い出しながら花火を見上げた。


そして、恋雪はまた言葉を繋いでいく。


「狛治さんとのささいなお話で

嬉しいことがいっぱいありました。


今年花火を見られなかったとしても、

来年、………再来年見に行けばいいって言ってくれた。」



「わたしは、来年も再来年も生きている自分の未来が

うまく想像できませんでした。



母もそうだった。

だからわたしが死ぬのを見たくなくて自殺したんです。

きっと。」


「父も心のどこかで諦めているのがわかっていました。

わたしがあまりにも弱すぎて………」


「でも、狛治さんにはわたしの未来が見えてた。

当たり前の事のように。

来年、再来年の話をしてくれたんです。

本当に嬉しかった。」



そして、恋雪は狛治の両手をそっととって、また恥じらうように俯きながら



一瞬の二人の間の静寂を見守るように、終盤の花火が夜空を彩り始める。


きゅっと恋雪の狛治の手を取った手に力が入る





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