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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第5章 傷と罪は共に背負うモノ





ふと数か月前の自分を思い出す。

わたしが生きてるのは

あの時わたしを拾ったあの人が

最初の1週間、生きることをやめたくて、生きるための食事も水も体を洗うこともしない人形のようだった自分にたいして、

躊躇なく服を脱がして体を洗ったり
躊躇なく無理やり口移しで水を飲ませたり

生活が全く違う種のはずなのにわたしの身の回りのことを全てしてくれて、

それも苦とも邪魔だとも思わずに全てやり遂げてくれて


急かしも邪険にもせず、干渉することなく、放置もせずずっと看病してくれたのは

そして、命が危ない時は奪おうとする相手にすさまじい怒りをもって制裁した。

それは

彼が人として生きていた時の失った人をわたしに重ねていらしたから。


同じだ。顔が解らなくても

その時の波動と今見ている彼の波動が同じだから
同じように感じられるから解ったの。


なぜあなたはわたしがここまで感じているのにわたしの記憶からもその映像からも彼を映してくれないの?


また、感じてしまう。


きっとずっとわたしから離れずにずっと腕で包んで目覚めるのを待っている。


でも、怖くなってしまった。

わたしでなくて、あなたの事を見てるのではないかって。

わたしの名前を呼んでくれるけど

目に映る姿はあなたを映しているんじゃないかって。



確かめたい

だけどそれをさせてもらえない。


それに、もしそれを気付いてしまったのなら、いなくなってしまうような気もする。


きっとそっちの方がいいってわかってても

また一人になって

その体温を感じなくなったらわたしは.....。



いや、

執着してはいけない。

執着してはいけない。

彼が決める事だし彼の人生だ。

彼の自由だ。



だけどそれでも、まだしばらく一緒にいる事を許してほしい

そう願うのは間違っていますか??




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