第14章 命と古傷
「感謝する。ちょうど問題ごとで頭を抱えているところだった」
「やけに深刻そうだな。.....解った」
「助かる。先に風呂でも入れ。そっちも目的だろ?」
「流石、俺のことも解ってきたな。ありがとな!」
調子がいいコイツについふっと心が軽くなる。
声に気づいたのか悟もやってきて、「お連れします」と
悟が天元を案内するために連れて出た後、気を入れなおすために頬を両手で叩く。
すると、襖の奥で声がした。
ゆっくりと開けられたそこには桜華がいる。
「天元さんの声が聞こえましたが…」
「あぁ。今悟が連れて行った」
「そうでしたか…」
勘がいいからこそ、ちゃんと話すべきか…。
「腹はきつくないか?動かないのもよくないと言われたがあまり無理はするな」
「はい」
桜華はどこか緊張しているようにも思えた。
話を聞いていたのだろうか?
「いろいろ不安だろうし、俺の変化にも気づいているだろう。俺は桜華に子どもと体の事だけを考えて欲しい。
それだけは俺では代わってやれないことだから…」
「ありがとうございます…」
「でも、桜華の意思も尊重したい。
話に加わるか?」
「よろしいのですか?」
「あぁ」
知っておいて覚悟してもらう方法もある。いや、既に『いつことが起きてもおかしくない』と思っているだろう。
ならば、彼女を信頼して話をして、こちらにも備えがあり内容も知っていた方がいい。
しばらくして、天元が湯上りの髪を拭きながら、俺の部屋へと入ってくる。
どかりと座って座卓に置いてあった団扇で仰ぎながら、悟が差し出した茶を煽る。
「では、俺はこれで…」
「いや、悟もここにいて話に入ってもらいたい」
「........はい、承知しました」
悟も一応は日輪刀を扱えて並の隊士ほどの実力はある。
だからこそ、俺たちの事を知っていて信頼できるような人間は多い方がいい。
「で、具体的にどんなことがあった」
「ある鬼が、ここを知ったのかもしれない。痕跡がいくつか確認されている」
もっと深刻な事態は
「今、ここを動くことが出来ない。”3人”には負担と危険が伴う。敵を迎え撃つにしても、”アイツの信者”であり”人間”だ。
それが難点であり桜華の体調にも左右される」
「力を貸して欲しい…」