第12章 血戦
「相手は我らだけではないぞぉ!ひょひょっ!我が使い魔である鯉は無限に出せるのだ。これらを相手にお前は…」
「それがどうした?ヒヒっ。竹は根を深く広く広げ、そして成長も早い。それはどの時代のガキでも知ってる常識だが?」
嘲笑の笑みを絶やさず余裕を見せているのは、彼らを挑発するに十分すぎるものだ。
実力もさながら、すぐさま鯉の背後にそれぞれ紙垂付きの竹を伸ばし、それぞれの鯉の背びれにある壺に圧をかけて割った。
「ぐぬぬぬぬっ!!」
「よそ見とは感心しない。腹立たしい!腹立たしい!」
「ただが位ナシに大勢の位持ちが必死にたかるとは…
実に見苦しい。滑稽だな。」
錫杖を突き立てようとした積怒をも片手で重力を反転させ、攻撃を避ける。
「早く小僧をだせよ。半天狗さんよぉ…」
「大丈夫じゃぁ…大丈夫じゃぁ…儂を倒すことなど出来やせぬ…」
「ほざいてろ…」
3体の半天狗の分身が積怒に吸収され、瞬きする間に積怒の体は幼児化。
雷神の太鼓の輪を背に背負った子供の鬼は憎珀天である。
「ヒヒヒっ…いいのか?俺は単体でいられる方が有利なんだが?」
「不愉快…実に不愉快だ…。貴様のような極悪人、実に不愉快極まれり…」
「不愉快で結構。”極悪人”?最初から俺は極悪人だ。誉め言葉にしかならないなぁ」
「実に舐められたものだな。新参者め…。弱い者いじめをする奴は決して我が許さぬ」
無限城内の威圧感は最高潮に達し、まがまがしさゆえに空気が軋み澱む。
場内が緊張感が増すほどに狂快の笑みは深く闇深いものに変貌していった。
一方、多数の使い魔と毒魚を出した玉壺は再起を狙い、無数の壺を出現させては、本体を隠し様子をうかがっている。
「許さぬ?上等だァ。お前の木竜もすぐに粉々の墨になるだろうなァ…」
憎珀天の威圧感に伴い、狂快も力を放出するように禍々しい
闇深い紫の霊気を纏う。
ギシギシと周辺の城の柱がきしむ音が響いた。