第11章 新しい芽
二人は音速の如く、激しい打ち合いとなる。
まだ疲れた顔一つ見せず涼しい顔のままの狛治に対して、宇髄の方には汗が幾筋か流れた後が光る。
息をつく間もないほどの戦いに木刀の方に限界が訪れ、まずは宇髄のもつ1本が折れて先の方が打ちあがった。
「降参だ。狛治相手にこれ以上だと日が暮れてしまう。」
「英断だ」
何度か手合わせして狛治の呼吸術を知っている宇髄は、この時点で降参した。
時間にして3時間は経っていただろうか。
息が整ったままの狛治の様子を見て匡近が聞いた。
「師匠の限界ってどんなもんなんだ?」
「俺の呼吸術は特殊だ。長時間、一晩中舞っても息が続くようにできている。少し前までの桜華とならば互角だろうが夜が明けてしまうだろうな」
「あ~!!チキショー。まだまだ足元にも及ばねぇ…!!」
悟が差し出した茶を一気に飲み干し、悔しさをぶつけるように地面を踏み叩いた。
現柱を相手にしてもどこかまだ加減している感じが否めない。
表情も”無”を張り付けたように変わりもしない様子に、底知れない強さを鬼のようだと思った実弥は、勢い良く頭を振ってその思考を否定したのだった。
「強くなりてぇ…」