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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第11章 新しい芽



3人の猛攻にも動じず、その雰囲気も表情も”無”から何も変わらない。

ただ突進してくる勢いに反して身軽に翻し、彼らの後ろに回り込んだ。

残像が残ったように映り攪乱した二人に反して、既視感のある技に体が動いた宇髄が後方から打ち込まれる木刀を受け止めた。

「流石だな」
「これでも一応、『柱』なもんで」

好戦的な笑みにも感情のブレを一切出さず、折れそうな勢いでたたき合う木刀の甲高い音が響く。

後ろからも横からもくる気配に身を高く反り上げて飛びのいた。

背を見せずに着地したそこは宇髄の真後ろだが、後ろ手で振りかぶった木刀を受け止め、くるりと正面を向いた。

「後ろにも目がしっかりついてるみてぇだ」
「反射速度も羅針盤でもついてるかのようだな」

鬼から人間に戻っても闘気を感じる雪の羅針盤が己自身の中で発動するかのよう。

感覚を開いて研ぎ澄ます境地を得て、植物が空気や風に敏感に反応するかの如くひらりひらりと攻撃を避けては、手元の木刀を打ち落とそうと手を伸ばしたり、木刀の側面から叩き割ろうと試みたりする。

「匡近。へらへらするな。これは実戦さながらだ。本物の鬼と対峙する時のようにかかれ。俺を殺す気でかかってこい」

感情を伴わない凪の声は低く威圧感を伴うもの。

返事を返す間もなく目の色を変えて、狛治の左を狙う実弥と息を合わせ右を狙う。

実弥が陸、匡近が弐の型を出して狛治をは挟むように技を繰り出すも、両手でそれぞれ受けては流した。

両者が僅かな間に背中ががら空きになったところをそれぞれ手刀で方から木刀を叩き落そうと試みる。

カランカランと先に木刀を落としたのは、体制の立て直しが遅れた匡近。
悔しさをにじませた刹那、戦いを続けながらも狛治は声をかけた。

「二人の連携は良かった。もう少し間が合えば掠るところだっただろう」

実弥の口角が少しだけ上がったとたん、木刀が握られている手の甲で強く手をたたかれ、実弥の木刀が落ちる。

次に頭上に天元の木刀が降りかかると、それを蹴り上げるように押しのけ、あと一本の木刀を受け止めた。

「まだまだ、どうしてもお前との一騎打ちになってしまうな」

「いや、二人は成長は確実にしている。特に実弥はうかうかしてるとお前を超すような存在になるだろうな」

「それは頼もしいことだ」

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