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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第11章 新しい芽



新しい顔ぶれが揃い、目の前に並ぶ。そして、横には狛治がいる。
人の輪がまた広がったのを実感し、父が望んだ光景に近づいていく自分がいるのだと思うと背筋が伸びる想いがした。

「みなさん、ようこそお越しくださりました。俺はここで使用人と刀の手入れを任されております、細手塚悟と申します。」
「同じく使用人と、お二人の医務係を請け負っております、細手塚 明子と申します。」

茶の用意をして応接間に来た二人に視線が集まる。人数分の茶とおはぎと和菓子と共に二人が部屋に入ってきた。

「二人も突然すまなかったな!今日はただの初顔合わせだ。俺が姫さんの様子見に来たかったついでに来てもらったところだ。」
「宇髄さん。そうでございましたか。いつも鍛錬、任務ご苦労様でございます。」
「悟もな!」

何回か屋敷で顔を合わせるうちに、使用人である二人ともよく話すようになった宇髄。同年代であることから言葉遣いは丁寧でありがながらも、打ち解けた雰囲気だ。

「ちょうど近所で菓子屋と甘味処をやってるところを見つけまして、おはぎを買って参りました。胡蝶様が今度皆様と集まるときに召しあがりたいと仰っておりましたので........。」

明子が、皆に配る茶と茶菓子を横にカナエに語り掛けた。

「まぁ!明子さん、覚えてくださってたんですね!!嬉しいわ!ね?不死川君!確か、おはぎ好きだったわよね?」
「す...。好きじゃねぇ!!」
「あら、そうなの?わたし、てっきり...。」

それが本当の事であると分かっているらしいカナエは、わざとらしく首をすぼめて、手で口元を覆いおどろいたようにした。一方の実弥の顔は、否定したにもかかわらず真っ赤に染まり図星であると顔に書いてあるようだった。

皆がその様子に笑って場が幾分か和んだ。からかわれたような気分でいる実弥はまだ目を反らしてほんのりと頬が赤い。

「遠慮せず寛いで行ってくれ。実弥も遠慮せず食えよ。おはぎ。」
「ああ”!!だから、おはぎは好物じゃねぇ!!.............嫌いでもねぇ...。」

狛治の声掛けに最初こそ、好物が知られたことが恥ずかしく突っぱねたが、流石に言い過ぎたと思ったのか尻つぼみに食べることを仄めかして手を伸ばす。

それを横目に嬉しそうにしてる匡近も「良かったなぁ」と実弥の背中を叩くのだった。


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