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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第10章 天照手記ー魂の記憶ー



あれから桜華も5人の子に恵まれた。
上二人の男子と三番目に生まれた長女が烏の羽のような美しい髪を持ち、下二人の男児と女児が双子で生まれ、男児の方が煉獄家のような猛々しくうねる炎のような色をしており、女児は赤褐色の色をしていた。

子どもの頃から、私と杏寿郎で剣を教え、桜華も産後の体調が落ち着けば舞踊をそれぞれに教えた。細手塚家と協力して商いも身につけさせ、彼らが12歳を迎える頃には独り立ちに十分なほどの教養と武術を身につけさせることが出来た。

それからも、桜華の血と体質の検証も続いた。子どもらにも同じような体質を持つ者がいるかを確認させたが誰一人としておらず、実質、桜華の命をもって、この検証と血を使った戦いが終わる事になった。

月日が流れるのはあっという間で、私も頭髪が白くなり、桜華達も孫の顔を見るまでに年を経た。

日神楽家は長男と次男が支え合う形で引き継がれ、同時に日神楽舞踊も受け継ぐ権利を託す。
三男は煉獄家とも合わせる事で炎の呼吸を習得し、鬼狩りとしてではなく育手として兄たちの商いを手伝うようになる。
私と桜華が死んだ後の準備は着々と整いつつあった。

更に、年月は過ぎて、世の中に寄り添いながらも、少しずつ大きく成長した日神楽家は反物や呉服を中心とした商いで藩で知られるほど大きくなった。
鬼狩りとの関わりは、より強い生地で配給する着物を作り提供するようになり、鬼に知られる隙のないほど綿密に練られた取引の中で取り行われた。

そしていよいよ、孫たちが日神楽家を担うことになる。
新しい日神楽家。彼らが間違いなく私たちの死後の鬼狩りの成り行きを知ることになるだろう。

私も齢70半ばで、誠寿郎、桃寿郎も他界し、杏寿郎も、天寿を全うしたといえる歳で昨年、命の最期を迎えた。

そう遠くない未来、私が死んだ世界で、鬼狩りは危機に見舞われるだろう。数多の鬼の目を通して私を見ているのだろう無惨は必ず動き出す。
私が動くことも含めて考えねばならない。

その時はもう近くに来ているだろう。備えた最後の準備をしなければならない。
桜華も同じ考えだった。
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