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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第10章 天照手記ー魂の記憶ー



「話をもっと聞かせて欲しい。縁壱殿が逃がしたという鬼の女の申していたことも、杏寿郎と桜華殿が考えていることも...。

勿論二人の意見を聞いての縁壱殿の考えもだ。」

「桃寿郎!!」

「兄上。感情論で物事を誤って選択する事こそ愚かというものです。」

「ぐっ......。」

桃寿郎の言葉に血管が浮き出るほど歯ぎしりをしながらも、誠寿郎も漸く我々の話を最後まで聞く姿勢を見せてくれた。

桜華と杏寿郎は、私が聞いた鬼の娘の話と、実際に今まで斬ってきた鬼の分析を例に事細かく説明した。

冷静になった桃寿郎は、よく相槌を打ってくれるなど至極真剣に話を聞いてくれ、私たちの話をよく聞いてくれた。

最初は怒りに震えていた誠寿郎も二人の話を真剣に聞き始め、それを見た他の煉獄家の者たちもその話に耳を傾けはじめる。

そして、二人の話が終わると

「桜華殿。杏寿郎をどう思うておる。」

と桃寿郎が落ち着いた声で聞いてきた。

「出会いしころより、共に戦い、剣技を高め合った良き戦友と思うております。

杏寿郎様が、この話を持ち出してくださいましたが、二人で、....否、横におります今の父と3人で鬼狩りの未来を繋いで、いつか来るべき好機へと導いていかねばと思うております。

失敗は許されませぬ。商人として息をひそめ、鬼狩りが滅びんとするときは”育手”として影の存在として繋いでいく所存です。」

桜華はしっかりと桃寿郎を見据えてそう言った。

それを聞けば、桃寿郎は腕組をし、俯いて、暫く考え込む。
暫くの沈黙に、皆が緊張の面持ちで見守った。


すると、ふっと顔を上げて杏寿郎と桜華を交互に見た。

「......相分かった。杏寿郎も随分と桜華殿を気に入っておられる。共に切磋琢磨し、己の儀を尽くしなさい。」

「桃寿郎!!」

「兄上。杏寿郎は私の息子です。家は嫡男に継ぎ私も責任を負い隠居します。

もう、こんなに立派な隊士となった。何も、現場で刀を振るうだけが隊士ではあるまい。

二人はもう、立派な鬼狩りだと、私は思います。」

同席した煉獄家の者たちは拍手で同意した。

「ただし、御館様への建前もある。婚礼は近き身内の者で済ませて欲しい。」

二人が今後の成果を示す事とそれを条件に縁談が纏まった。

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