第4章 矛盾
この一家を襲ったのは、無惨様の、我々の命を狙う産屋敷と鬼狩りの勢いを押さえ込むため。
昔から強い繋がりがあったらしいが、
近年の事業の急激な成長で財閥へとのし上がってからは産屋敷に資金面でも多大な影響力をもつようになっていた。
それに伴い鬼狩りが増えたことに危機感をもった無惨様が一族を滅ぼす選択をされたのだ。
女が死をもって守っていた子ども。
それが桜華だった。
気配と僅かな血の匂いで瞬時に察した。
この女の血は浴びてはならぬと。
自分の体の一部であるこの刀が触れてはならぬ血であると
気を失っている女児に止めを刺せぬまま引き返し、
その後、古びた文献で偶然目にした。
著者が書いていないが、その書物の他の文献で経験がある事例で経験のあるものが多かったため信憑性は十分にあるもの。
途中から劣化が激しく読めなかったが、
書いてあるものはあの時感じたことがそのままで
気配と僅かな匂いで強烈な拒絶感が出たほど。
この血で間違いないと思ったのだ。
「......知りたいか。」
私の問いに女は大きく首を縦に振った。
懐に、私が読みつくした書物を女のひざ元に投げ放った。
女はそれを手に取り、これがどうしたのかという目をこちらに向けている。
「.....その本で読んだままをお前に感じた。
恐らく間違いはないだろう。
.....無惨様の次に長く生きている鬼として、その書物は信憑性が高いものであると感じている。
文献にはこうある。
『鬼成不血(オニナラズノチ)
鬼になれない、鬼であり続けることが出来ない特殊な稀血である。
異質で、幼い人間ほど誘引性が高い匂いを放つ。
鬼の始祖の血を注いでも鬼になれず、その血を一定量飲んだ鬼に精神依存性はなく体質的に受け付けなくなる。結果、その人間の血しか飲めなくなり、結果生存事例なし。死後、個体に症状の大きなばらつきあり。
人の姿で死ぬものあり。
検体数がかなり少ないため、鬼の人間時代の性質にもよる可能性も否めない。』
と。」
女の顔は驚きで先ほどより蒼白な顔をしていた。
恐らく一度は猗窩座が女の血に触れたことがあるのだろうと察した。