第10章 天照手記ー魂の記憶ー
「ち.....父上?!」
「桜華。私の娘となってくれた事、私を父と呼んで下されたこと、本当に嬉しく思うておる。
私は、娘の志も叶えるが、父として娘の幸せも願っている。
共に笑って生きたい。
それで良いか?」
あの時の幼女のように
否、あの時の幼女よりも強い光が胸を包む
驚いた顔が、徐々に泣き笑いの喜びに満ちた表情となっては鮮烈に心に焼き付いてくるようだった。
「はい!!」
抱き上げた桜華から滴り落ちた涙が何度も頬を濡らした。
「ありがとう....」
抱き上げていたからだを引き寄せて、力を入れて、だけど壊さぬよう抱きしめた。
小さな手が私の頭を撫でてくる。
どちらが子供か....
大きな大人が情けないと思うかもしれないが
少なくとも私にはそんなことすらどうでもよく
優しい光がささくれた心を埋めてくれるような暖かさに心が強く反応したように思ったのだ。