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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第4章 矛盾






夜明けが近くなり空の色が変わりはじめた。


鬼と暮らしているからか、昼夜逆転の生活になっているのと、鬼の襲撃、色々考えることが多くて疲れた。


猗窩座が言っていた洞窟まではそんなに遠くもない。


滝の落ちる奥にある洞窟は秋ということも合わさって奥に行けばただただ寒くて身震いする。






こちらに来るときに持ってきた毛皮の毛布も、あれば足しになるくらいで寒さはそれでも身に刺さる程。




洞窟の奥まで来るとかなり大きい空間があった。





平らなところもあり、横になろうと思えばできるほど。



「血色が悪い。寒いのか?」


気を遣わせないように遠慮したくても、体は正直で小刻みに震えてしまって抑えられない。


どうしたものかと目を泳がせているとクッと小さく笑った。


「正直に言っておけ。風邪を引かれても医者のところまでは行けないぞ。」


だからってどうするつもりと怪訝な顔で見ると、猗窩座はその場にわたしを抱いたまま座り、


胡座の上に座らせて後ろから抱き締めるようにして動きを止めた。











え………ちょっ………




「まだ冷えるのか?」




いや、そういうことでは………




驚きと戸惑いで固まっていると



「洞窟で火を焚くわけにはいかん。俺で辛抱しろ。」



今まで、食事の用意以外ほとんど手の届くところに来なかったのに

今日はやたらと甘くて近すぎる。

心臓に悪い。


何をやってるのと抗議の眼差しを向けると
呆れたように


「力を抜かんと寝れんだろ。何もしない。他に手がない。
我慢しろ。」


という始末。


言ってることはごもっともなんだけど

耳にかかる息と声がくすぐったいのと


今までとは違いすぎる態度や表情、距離間に挙動不審になってるのに余裕な様子で反応を楽しまれてるのが悔しい。




落ち着かないまま


されるがまま。



静かになったと思って目線を後ろにやれば

また何かを思い出してるのか


紅梅色の睫の下に揺らぐ瞳が悲しみで揺れている。



(猗窩座………)


色が綺麗だからじゃない

その色の奥に広がる悲しみの色が

優しさの所以であることが

心を揺さぶるほどで目が離せない。


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