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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第4章 矛盾





あの鬼が

先ほど消した鬼が



桜華がいなくなるという現実を突き付けた。

気がつけば鬼を血の海と化すまでに痛め付けていた。



桜華が殺される姿も死んでいく様子も、死体も見たくない。





思い更けてることに気づくと心配そうに見上げる大きな藍の瞳がそこにある。


まだ話すことは無理でも、生きた人間の魂が入った視線になってきているのを改めて実感した。


人間らしい柔らかさと体温、心音を感じられる


しっかりと今生きてる事だけで


連れてきた時と真逆の満たされた気持ちになる。





連れてこいと言われたが、……無理だ。
たとえ、無惨様の指示であろうとも


この命が好き勝手に操られる姿を見たくない。させたくない。



だから、声が戻れば、俺に何も告げずどこかにいってほしいと願う。



無惨様の任務をこなしながらでも少しずつ状況を見て

人里が近いところへ行こう。





鬼という血みどろの怨念と執着と修羅の世界から

あと少しだけ桜華がくれる心の休息を生きたい。



それだけで充分だろう。





人間を鬼にするのは容易いが
鬼からは人間に戻れない。戻ったやつなどいない。


無惨様に粛清されるか、俺が戦いに負け死ぬまで

俺は鬼という宿命を生きていく。



桜華は桜華のまま

こっちの世界に来てはいけない。





誰も気づかないうちに見られないうちに

その月光花のような顔に笑顔を戻して

人間の世界に返したい。


それが、俺に唯一してやれることなのだ。

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