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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃/猗窩座・狛治】

第9章 月詠の子守唄



「日神楽式 空式 陽華突(ヨウカトツ)」

大きな異形の鬼となった颪の腹を突き上げるように斬撃を飛ばす狛治。


「グッ……!ウゥゥウウア"ア"ッ!」


苦しむ声を上げた颪の様子を、隙のない目で睨み上げた。

そして、


「桜華!俺を、踏み台にして飛び上がれぇぇ!」

「はい!!」


その声に応えるように、狛治目掛けて勢いよく走り出す。


「ナゼ、サイセイセヌノダァ!ア、アツイ……!」

颪の悶える姿が、ギッと桜華を捉え、何かしようとするのを察して宇髄が動く。


「音の呼吸 肆ノ型 響斬無間(キョウザンムケン)」

「血鬼術 空震爆華(クウシンバッカ)」


颪の血鬼術の爆圧と宇髄の音の呼吸の剣技の爆発の弾き合い。

僅かに速かった宇髄の爆発の圧が、颪の爆圧を相殺した。



「今だあぁぁ!」


激しい轟音の中で狛治の腹からの叫び声が桜華の耳に届いた。


その瞬間、桜華は目を大きく見開き、狛治の背を踏み台に大きく飛躍しながら広く深く刀扇を振りかぶるった。


颪がハッしてこちらを見ようとした刹那、









「結の呼吸 伍ノ型 









     神金環・結び絆」









シャァーと金環日食のように輪を描いた日(火)の粉は、光る粒子が刃となって高速に颪に飛んだ。









「グアアアアアアアアアア!!」








血飛沫とともに



颪の頭部が跳ね飛ぶ。






颪はその瞬間が、


まるで


時の流れを操られているかのように



ゆっくりと



ゆっくりと



過ぎていくように感じていた。





(なぜだ………!

なぜ、猗窩座殿が………

なぜ、あの生き残りの娘が………

なぜだ…!

悔しい……!

融合したというのに……!)





「ちちうえ!」




ふと脳内に、幼子の声が聞こえる。

それが引き金となり、

何かに引き込まれるように

精神の縄がほどかれる。



(あぁ……、そうだった、








拙者はただ、







世間から、息子を







守りたかっただけなのだ………)





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