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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃/猗窩座・狛治】

第9章 月詠の子守唄





「お主に問う。近頃、鬼狩りが、鬼の血鬼術、居場所、特徴などの情報を正確に把握しているようだが、"裏切り者にて逃れ者"の仕業か?」

颪の視線が鋭く冷ややかに桜華を睨んだ。

間合いを詰めてきた。

桜華は斬りかかろうとする颪を日の刀扇で払い、月の刀扇で飛んできた血をかき消した。


「拙者のことも熟知して、倒しに来ぬ。どう誘き寄せるつもりだ?ククッ。

倅、醜童は体は4つの子鬼なれど、あの声は人間には害が強い。

もし仮に、"元"上弦の参殿がいたとしてもあれを相手にどう出るでござろうな。」



狂喜の笑みを浮かべ、愉快そうに高らかに笑う颪に対して、表情ひとつ変えることなく、言葉を返さない。

冷静に、そしてどう攻撃を仕掛けても、罵っても、煽っても、精神の揺らぎも、闘気も感じない桜華に、颪の感じるものは気味の悪さから時間をかけて恐れに変わっていった。


「あなたの守ってきたご子息にも、沢山の背負い込めない罪を背負わせるのですか?」


真正面から強く射抜くような強い視線に、のせられた桜華の言葉。

颪には今まで何度も言われた言葉にも拘らず、ぐんと言葉の矢が刺さり、一瞬怯んで、動きを止めた。




その時だった。




「ちちうえぇぇぇ!」



声が聞こえた僅かな瞬間で、颪は声のする方へ跳ぶように駆けた。




(見つけたのね…。)




颪が駆けていく後ろを逃がすまいと全速力で追いかけた。








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