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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第8章 魂の雪蛍











少し時は遡る。


狛治の夢に雄治が現れた頃………。







「くっ………。なぜ……、"あの時"傷が全て疼くのだ……っ!」


癖のある黒髪

桃色の瞳の瞳孔は鋭く縦に割れている。

男は額に青筋が浮き出て、冷や汗が滲み

ガタガタと震えている。


「目障りだ……!消えろっ!化け物め………!」


目は大きく見開いて、

男は全身に刻まれた400年前の恐怖で震えている。

そしてその脳内に鮮明によみがえる、花札のような耳飾りをつけた赤黒い髪の侍が
白く激しく光り射抜く眼光が己を睨んでいる。

その侍の声が

脳内に

体に

深い恐怖と共に

木霊する。




『生身のものは

鬼のようにはいかない。

なぜ奪う…

なぜ、命をふみつけにする…』



「………ぐっ!」



『何が楽しい…

何が面白い……

命をなんだと思っているんだ…』


「ああ"っ………!」


『どうして忘れる……』

(なぜだっ!、今………、こんなにも鮮明に!)

『我を失った…心の優しい者さえも

意図も簡単に地獄に堕ちる鬼の修羅の道に……

お前は突き落としていく!』


(この言葉は聞いていない!覚えていない!どういうことだ?!)


ゴォォと燃えるような凄まじい圧力が己の身を包むのも、男の記憶の中のものよりも一層凄まじさを感じた。

身震いがして


動くこともできなければ


息をすることさえ出来やしない。


『業は巡りめぐって、災いと転じ身を滅ぼす……!
覚悟しろ!』


燃えるような赤い刀身の刀が火を吹き

凄ましい勢いで

自分に斬りかかってくる。


「…あぐっ……ああああああ!!!!」


途端に全身が太陽の炎で焼き付くされるような激しい熱の斬擊で気が狂い、恐怖も混じって思考すら出来ない。



ただ生にすがり付くように足掻き狂い、のたうち回り



男は




その瞬間



意識を飛ばした。




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