第4章 矛盾
「怖じ気づいて喋れないんなら、面白くねぇし喰ってやらぁ!」
「……っ!!!」
漲る力を大きなノコギリを持つ両手に伝え、真正面から体当たりした。
バシャと血飛沫が飛び、鬼の胴が触れた瞬間に左手を伸ばし鬼を逃がさぬよう壁に押し付ける。
その瞬間血飛沫が飛び、胴が離れ、今度は胴下と上の両方が離れた自分に向かってくる。
「………………!!」
鬼殺隊と鬼の知識はあっても、鬼を倒すのに必要な日輪刀も術もない。
ただただ、物理的な計算と無駄に早い動きで、長い刃の包丁とトンカチを二つになった鬼に投げる
「ギャー!!」
鬼の断末魔が聞こえるも一瞬で黙り、壁に突き刺さった状態の頭にある目がぎょろりと桜華を見る。
その隙に斧や草刈り鎌を投げては草刈り鎌が上腿に命中し暫くの動きを止めた。
「へへへぇ。ただの女にしちゃよくわかってんなぁ!
普通に喰うのより面白いぜ。」
喋る上腿に気を取られていると残ってた下肢に思い切り脇腹を蹴られ、壁に腕から激突し持っていた錆びた鎌を手離してしまい呆気なく武器を持たない状態になる。
それでも桜華は諦めず立ち上がり、偶然そこにあった木刀を取り出す。
しかし、剣士でもない桜華の力では物理的な原理で攻撃を河沿おうが、打ち込もうが何の効果もない。
そうこうしている間に正面から腹を蹴られ勢いよく壁に突っ込み、音を立てて体を激しく打ち付けた。
「かはっ…!!」
立てないし痛みで顔を歪めるが、それは鬼にとっては喜びでしかない。
「ハァ…ハァ…っハァ…」
「頭かち割って美味しく戴いてやらァ。」
そう言って、馬鹿力で縫い付けられた上腿を脱して、恐ろしい勢いで下肢に近づいていく。
胴体が結合しジリジリと近寄られるも立つことさえできない。
ゆっくりと近づきながら、ぐちゅぐちゅと気味の悪い音を立てて結合していく鬼。
その表情は先程よりもさらに目を見開いて口を大きく開け、口からは唾液と長い舌をたらし狂気な笑みを浮かべている。
まだ持っていた木刀を握りしめて鬼を突いても逆手に取られて勢いよく頭を壁に打ち付けられた。
「…っァ……!!」
脳震盪で意識が飛びそうになるのを堪え目を開けようとした時
待ちわびた姿と波動が凄まじい怒りを帯びて目の前の鬼を吹き飛ばした。