第8章 魂の雪蛍
人間のからだに完全に戻ったであろう俺の体、心は
鬼とは比較にならん程、全ての感覚がスッキリと冴え渡っているように感じた。
同時に、生涯の契りを結んだ後、愛する"妻"となった女との交わりという、感慨深さと、この上ない愛おしさが、睦合いのことが進む度に俺を快楽に狂わせていく。
突如告げられた痣の話に、それを確かめると
桜華の左の腰から、黒死牟と同じ模様の痣。
そして右肩から背中にかけて、俺の胸を横切る雄治さんと同じ模様の痣。
もう嫌という程に解った。
桜華の魂はアイツの人間時代の家族の誰かだ。
そして、彼女はまだ、それに気づいていない。
そう気づいた瞬間、
もし、雄治さんのように前世の記憶が甦ったり、事実を知れば、優しい君は殺された家族や鬼狩りたちにどんな想いを抱くのか……
そんなことを思うと胸がはち切れそうで……言ってやれない……。
一瞬でそのようないろいろな想いが駆け巡って背中を彩る痣に口づけた。
"守る""愛してる"
その体に嫌というほど、俺の揺るがない意思だけでも刻み付けたいって思った。
何があっても離さない。
何があっても愛してる。
何があっても守り抜く。
ずっと君に寄り添い続けたい。
俺で美しく乱れ狂う桜華は
俺の名前を、縋るように呼んで、甘える。
体温も
声も
皮膚の擦れ合う感触も
交わる音も、快楽も
この瞬間に感じる
桜華の何もかもが
愛おしすぎて、俺を狂わせる。
「あ"ぁ!あっ!ん、ん"、」
俺がいなくなるんじゃないかという不安から解放された桜華はいつも以上に俺を感じて俺の全てで乱れている。
それがまた可愛らしくて愛おしい。
耳の中に舌を這わしても
口づけても
乳房や乳頭を口内で弄んでも
いつも以上の反応に、俺自身も蕩けてしまいそうだ。
もっと深く入りたくて支えにしていたもう一方の足も持ち上げると、桜華は驚いて、小さな悲鳴をあげ、力一杯俺にしがみついた。
自分の腰を深く打ち付ける。
ぐちゅ!ばちゅ!
と厭らしい水分を含んだ音が、甘い匂いと声、息と共に部屋に響く。