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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃/猗窩座・狛治】

第8章 魂の雪蛍




引き留めた声に応じるように雄治さんは足を止めて振り返った。


「狛治。君は過去の呪縛を思い出し開放する事で完全な人間に戻ることが出来る。

血鬼術はなくならない。だから、日の呼吸の剣技は今の様に己の術と融合させて使いなさい。

武に精通し才能のある君ならば成し得る。

必ず自分のモノとして使いこなせる。

そして、ここからは見えるのだ。ある一家が私の剣技を舞として受け継いでくれている。400年もの間正確さを保ったままでだ.....。

彼の子孫もいずれ君の元に現れる。よろしく頼む。」



そんな未来の事を言わなくても、あなたと同じような暖かい人ならば手を取りたい。

それは安心してくれ。

ただ、今そんなことを聞きたいんじゃない。



「鬼のいぬ世を、あの子と一緒に作ってくれ。
そして、あの子の笑顔となってくれ。
それが私の望みだ。

君ならできる。

どうか、今日私と話したことは、内密にな...。」


言葉を発する事は許されず、言葉にならなかった息だけが漏れていく。

待て!俺はまだあなたに聞きたい事が....。

そして、あなたに、何かを言えてない....


「狛治、君に出会えて良かった。

有難う。息子として、君の事も見ている

自分を見つめ、己の信じた道を貫き、自分や愛し信じる者と共に生きろ。」


そこからは、

雄治さんは、太陽の光に吸い込まれるようにして消えていった。






それと俺が目覚めたのは同時。

倒れた後の倦怠感はなく、先ほどの夢を見てもなんだか心も体もスッキリとした気分だ。

目覚めたとき、俺は、涙で枕を濡らしていたようで、

桜華が心配そうに俺の肩を揺さぶって見つめていた。


「狛治?大丈夫ですか?」

「ん.....、なんてことはない。

ただ、優しい夢を見ていたみたいだ.....。」


寝起きで頭が回らない中、脳裏には雄治さんの凪のような笑顔が焼き付いて心を締め付けた。

ふわふわと頭をなでてくれる桜華の手がとても心地よい。

俺の髪をなでるその手を引き込んで己の腕に収めた。

暖かくて、甘くて、優しい匂い。

愛らしい。愛しい。



雄治さん。桜華を任せてくださって有難うございます。

俺は天寿を全うするまで彼女を守ります。

あなたからもらったこの力を自分のモノにして。


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