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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃/猗窩座・狛治】

第8章 魂の雪蛍



その日もまた引き込まれるように夢を見た。


今回は見慣れない武家の屋敷のような場所で、雄治さんがスーツ姿で縁側に腰かけていた。


俺に気づくと、隣に座るよう促さる。

自分の意志と無関係に引き込まれるようにして俺はそこに座った。

「狛治。君と話すことを許された時間は今宵事切れる。
わたしは死んでからも変わらずあの子を見ていた。
これからもそれは変わらない。

だが、彼女自身を助けてやれるのは、死んだ私ではない。

生きて彼女を支える君と仲間たちだろう。
君になら大丈夫だ。」


俺を信頼して、笑み見せるこの人は、なぜか自責の念が強く漂い、その身に”後悔””悲しみ”を強く感じた。


「そして、狛治は前世のわたしと似ている。ずっと孤独だったのだ。

そしてその孤独から救ってくれたのも互いに彼女の存在だった。」


「桜華は優しい。

前世も、自分の一番近い肉親を鬼に墜とした私を恨みも憎しみもせず孤独から救ったのも彼女だった。

前世、あの子と約束したのだ。

日の呼吸で果たせなかった私の使命を、来世共に果たそうと。
私を恨み堕ちていった兄の心を共に救おうと……。

そして今世、示し合わせたように私たちは実の親子として生きた。

だからこそ、桜華が真実を知れば深く傷つき酷く落ち込んでしまうかもしれない。

君が傍にいてやってくれ。
”兄”と面識のある君だからこそ出来る事なのだ。」

そういって、立ち上がった背を追った。
引き留めるように大きな声で、

「待ってくれ!その兄っていうやつは!!?」

俺の問いに
雄治さんはそれ以上何も言わずただほほ笑むだけだった。

もうわかっているだろうと言いたげに...。


待ってくれ....。


これを…、俺の仮定していることが事実ならば、彼女の前世の感情と今の感情が折り重なった時どうなる?



俺は何をしてやれるんだ.....

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