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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃/猗窩座・狛治】

第8章 魂の雪蛍



まだ暗がりの中、目が覚める


ぼんやりと天井を見上げたまま


夢の中の男を思い出す。







常に強さの頂点にたつものに付きまとうのは


他人からの羨望、妬み、僻み。


ゆえに近寄りがたさと、嫌悪感から人は離れていく。


皆が己が一番でありたいものだ。


条件が重なれば、


その思いは競争となり、


勝てなければ感情は拗れて恨みへと変貌する。





俺の思い出せない人間時代と


雄治さんの抱えているものは


その視線を向けられる方で生まれた孤独のような気がした。







俺は起き上がり、着替えもせずに


何もない板の間の部屋に向かった。




悟さんが作ってくれた、俺の日輪刀に似せた木刀を持って俺の正面に置いた。







目を閉じて



深く息を吸い



ゆっくり吐き出す。




先ほど見せてもらったことを脳内で再生する。


自分のものにするのだ。あれを。


全神経を研ぎ澄まし、なりきれ。


もう、破壊する、殺すのは鬼だ。


そして、俺のやり方であの人のような、浄化のような美しく豪快な炎を出せるようになれ。


守りたい者の顔を思い浮かべろ。






もう俺のからだに染み付いている型はあれで十分だ。


"今"必要ではない感情は捨て去れ

"今"必要な事だけに全力を注げ


雄治さんのような刀は俺にはない。


ただし、心にはあのような太刀がある。


使うのは己の拳に添わせた、巧一さんたちが打ってくれた日輪刀。



大事な人たちの想いで打たれた日輪刀。




ゆっくり目を開けると脳内が澄みわたって


あらゆる感覚が研ぎ澄まされる。





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