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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃/猗窩座・狛治】

第8章 魂の雪蛍



始めに狛治が外にいる事に気づいたのは明子だった。


鬼は太陽に当たれぬことは細手塚の人間は知るところであるからこそ、


明子は作業場にいるみんなへと声を小さくしてその事を伝えていたのだ。


「狛治様が太陽に当たられてるのに消えてないの!何ともないみたいなの!」


「狛治様が……?」


家族は喜びを通り越して泣きそうになるほどの反応で、皆が作業のてを止めて離が見えるところで足を止めていた。


桜華が日の光に当たれるようになった狛治に気づいて、その胸に飛び込んでしまったから


その暖かい目の前の出来事を邪魔することはできないと思ったから。


一家は、遠くから暖かい眼差しで狛治の様子を見ていた。


「あぁ、神様……。」


巧一はそう呟いて、溢れそうになる涙を必死にこらえた。


朱音はその横で涙をボロボロ流しながら、



「きっと代表が、………あの時わたしたちの前で見せてくれた剣技で、彼を日に当たれるようにしてくれたのね。」


「母さん、きっとそうだ。代表も二人をしっかり見ていらっしゃる。でなきゃ、あんなに突然奇跡的なことは起きなかっただろうから」


そういう悟も涙が溢れそうな目頭を押さえながら二人を見ていた。


「ねぇ、悟兄さん、早紀姉さん、お母さん、皆でなんかやりましょう?

このまま刀渡してそのままさようならじゃ味気ないじゃない。」


「母たちはもう考えて用意してあります。あなたたちは同じ年頃同士、あなたたちがして差し上げたいことをしてあげて。

勿論軍資金は、お手伝いしますよ。」



朱音は弟である巧一と見合わせて子どもたちに笑いかけた。



「ホントに?じゃぁ、みんな、頑張ろう!もう桜華様たちは、1週間くらいしかいないのですから。」



明子は元気にそう言った。



巧一の長女、早紀が、なにかいい案はあるのかと訪ねると、明子はうきうきしながら答える。



「お二人はあんなにも美しい容姿をされているのに、何も着飾らないし、鍛練と勉強ばかりで逢い引きされないじゃない!」


「というと?」


美紀は何かを思い付いたように笑顔になり、明子に耳打ちをした。


「もしかして鐘楼祭りですか?」



ふふふっとそうですよと言わんばかりに明子は笑った。




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