第7章 残されていた愛 繋がる愛
「また会うときにはそれなりに強くなっていろ。俺はお前と戦いたい。
強くなれ。」
「俺も狛治殿と全力で戦えるようになりたい。今回ここに来れて本当によかったと思っている。
父といろんな事があって一人で戦っていたが、あなた方二人に勇気をもらい、目標ができた。
俺は必ず強くなって、二人に会いたい。」
杏寿郎は少し目を潤ませながらハツラツとした声でそう言った。
「杏寿郎こそ、よくぞ来てくださいました。
共に悪鬼を滅ぼしてまいりましょう。
必ず生きてください。
貴方のような心の強い方ならきっと最終選別も通過し立派な隊士となります。
わたしも、もっと成長された貴方の姿をみたいです。」
「必ずや……」
熱くなった目頭を押さえる桜華と杏寿郎、狛治で互いに固く握手を交わす。
また強くなって会おうという約束と共に。
そして、
「狛治殿。次会うときに、もし人間時代の事を思い出せていたらまた語らいたい。
またいろいろ教えてくれ。」
「あぁ。お前にならいい。」
穏やかな声でそう答えた狛治の表情もまた穏やかな顔。
桜華それを見て、人間として生きて会いたいと言える友人ができたことを自分の事のように喜んで涙が溢れそうになっていた。
「達者でな。また会おう。」
「気をつけて帰れ。」
まだ日に当たれぬ狛治は玄関で杏寿郎と別れた。
外は鬱陶しいくらいに太陽がギラつく快晴。
門前の一本松が青々と空に向かって葉を立てている。
杏寿郎が出立すると挨拶に一家が作業をする作業場へ行くと、一家が作業を止めて汚れた手を手拭いで拭きながら集まってきた。
「もう行かれますか?」
「はい。細手塚家の方々、いろいろ世話になった。
本部へもこちらの皆様が代わりなく暮らしておられることを伝える。
素晴らしい技術と刀を見せていただいていい経験になった。
今後のますますの活躍と発展を祈る。」
「はい。
楽しい時間でございました。
こちらこそわたしたちの大切な日神楽家のお二人を今後ともよろしくお願いします。
道中お気をつけて。」
朱音はそういって杏寿郎に頭を下げた。