第7章 残されていた愛 繋がる愛
次の日の朝、遅めの朝食を3人でいただいて、また賑やかなひとときを過ごした。
狛治と杏寿郎は昨日よりもさらに打ち解けた様子で、それを見た桜華は穏やかな表情を浮かべていた。
朝食が終わると
「二人とも来てくれないか?杏寿郎に持たせたいものがある。」
狛治は杏寿郎と桜華を応接間に呼び出し閉じひもで括ったひとつの紙束を二人の前に差し出した。
『上位50体鬼解剖書』
と書かれている。
「こ………これは…!?」
杏寿郎は、表題からおおよその検討がついたが信じられないような様子で、興奮気味に目を見開いた。
「君のような産屋敷側の人間が来れば渡そうと思い作ったものだ。
これは俺が上弦の参だったからこそ知り得た情報だ。
俺は俺より下の鬼どもは全て思考も居場所も読めていた。
その記憶からこれを作った。
名付けて『上位50体鬼解剖書』これを、君たちの頭領"産屋敷耀哉"に渡して欲しい。
"元上弦の参 猗窩座"が、日神楽に寝返って作ったものだと。」
「見てもよろしいか。」
「勿論だ。」
杏寿郎は渡された冊子を手にとって、じっくりそれを開き見た。
鬼の特徴、血鬼術、縄張り、性格を上位の鬼になるほど詳しく記載されており、鬼の絵も詳細に書かれている。
「これ程のものを……。」
それは、鬼側の事情を詳しく知るには充分すぎるもので杏寿郎も、その資料の出来映えに目を輝かせていた。
「昨日、鬼殺隊の状況を聞かされて力になれればと思った。
隊士が少ないのなら尚更、一人一人の価値が大きい。適材適所に人員を割けば、隊士の生存率も上がり力をつけることが出きるはずだ。」
以前狛治が言ったことはこの事だったのかと
桜華は、狛治自ら進んでそれをしてくれた気持ちに胸がいっぱいになっていた
「あぁ。俺もそう思う。これは御館様も喜ばれるはずだ。必ず渡すと約束する。」
「狛治。このようなものを用意してくださって本当に有難うございます。
そして杏寿郎、わたしたちはこちらの準備が整い次第必ず二人で産屋敷邸へ向かいあなた方と共に戦います。
それまでそれを活用して最善の状態で待っていて欲しいと伝えてください。」
「了解した。俺はあなた方お二人と再び会えることを心待にしている。」