第7章 残されていた愛 繋がる愛
「む、それはどういうことだ?気のせいではないのか?
桜華様は、兄上と同じく、瓜二つと言われていた程に先代の代表に似ていたぞ?」
「いや、何というか、着るものも、立ち姿も、走り方も、ふとした瞬間に感じる威圧もどれもあいつを思い出させるものがあった。」
「それに、無惨がもっとも恐れた男もそいつに姿形、風貌似ているが、どちらかといえばその鬼ににている。」
「ますます解らんな。輪廻転生か何かか?」
「そういわれても不思議ではないと思う。恐らく、杏寿郎がいう桜華の父親も含めて………
であるなら、いろいろ結び付く点が多いのだが………
そういうことが本当にあり得るのか……
あり得ていいものなのかがよく解らん……。
すまん。俺にもハッキリしないことを……。」
端切れのない物言いになってしまったことを詫びながらも狛治は、杏寿郎に話して良かったと思っていた。
頭のなかでモヤモヤ渦巻いていた疑問や解っていることそして些細ではあるものの杏寿郎からも桜華の父親の情報が入った事で点が線に繋がりそうになっていたからだ。
「いや、今までそう言うことを言える相手がいなかったのだろう。
確信がないのに桜華様に話すわけにもいかんしな。
しかしなぜ、隊士でもない俺に話した?」
「お前はこうして鬼である俺の話を聞いてくれるし、桜華もお前を信用しているようだったからな……。
お前なら、桜華の父親にもここの住人と違ったところで会ったことがあるだろうと思ってだ。」
杏寿郎は幼い頃数回しかまともに話せなかったのにそこまで信用されていると思っておらず、目を見開いて驚いた。
そして狛治までもその言葉から信用されていたということに こそばゆさを感じて咳払いをした。
そのとき、狛治の腕の中で何も知らぬ桜華が身動ぎした。
「杏寿郎、もう歩けるか?」
「む?
……………(よもやよもやだ!まさか俺の事を気にしていたとは!)
あ、あぁ、すまない。気を遣わせてしまった。
俺はもう大丈夫だ。桜華様もそのままでは些かきつかろう。
こちらこそ気遣いが足らず申し訳ない。」
そういって慌てて立ち上がり、狛治はやれやれと笑みを浮かべてそれを見ていた。