第7章 残されていた愛 繋がる愛
ものの見事に綺麗に部品が外れて、もうひとつの方も同じようにばらすと巧郎がまたそれを手際よく組み上げていく。
その様子を狛治も桜華も食い入るように見ていた。
「お二人が可愛らしい。まるで手品を見せているような気分になります。」
そう得意気に話す巧郎の言葉に恥ずかしがりながらも
「「とても手慣れていらっしゃるので……」」
と示し合わせたかのように声が重なった。
二人とも驚いて顔を見合わせていると、
「ハハハ!息がぴったりだ。
仲がとてもよろしいようで何よりでございます。」
と巧一が、笑顔で茶化した。
恥ずかしげにはいと答えて赤面うつむく姿に
(まだ年相応な可愛らしいところがあられるようで微笑ましい。)
と巧一は目を細めて二人を暖かく見ていた。
楽しく会話を弾ませなからも部品を組み立てていく手は流れていくように進み、二人はそれを興味深く見守った。
暫くして
「お待たせ致しました。ご要望の通り組み立ててみましたので、再度手にとってご確認ください。
どんな細かい要望やご希望もお申し付けください。
できうる限りお応えして狛治さんに一番最適なものを作っていくので。」
と頭を下げる。
狛治は礼を述べて再度真剣な顔に戻り、過去の戦いを思い浮かべながら、そして型を確認するように手を動かして使い心地や刃の角度などいろんなところを入念に確認していった。
そして、巧一と巧郎に疑問に思ったところや改善点、希望や要望を細かく伝え、職人二人はそれを余すことなくメモを取った。
その一つ一つに説明したり、希望や改善点要望を叶えるための技法とその利点と欠点を余すことなく伝えていく。
そして決定したことを次々と設計図に書き込み、模型も可能なところは細工して大方の完成図が出来上がった。
「全ての行程が終わり狛治様にお渡しできるのは余裕をもって約2ヶ月弱ほど。
お盆頃となります。」
と巧一が伝える。
自分の希望が思いの外多く取り入れられたことに巧一たちの技量の高さに感動した。
そして仕上がりが見えたことでそれへの期待も上がる。
「解りました。では、出来上がりを楽しみに鍛練に打ち込んでいきます。」
そういって狛治は頭を下げた。