第7章 残されていた愛 繋がる愛
「はい。あなたのからだに何かあればわたしが守れるくらいにならねばいけません。」
逃げると決めたあの時から、この鬼ごっこが終わりは、戦う方に切り替えられられる準備が整うまで。
狛治が呪いの監視の目が完全に見えなくなり人間になってからだ。
それまで、体調にどんな変化が起きるか解らない以上姿を眩まさなければ、強くならなければ今も未来も守り切り開いていくこともできない。
「俺を守って死ぬことは許さん。」
ポツリと寂しそうに言うのは、沢山の大切な人や人生を守りきれなかった体でしか覚えていない過去からの無意識な無力感からの言葉。
勿論、自己を犠牲にして幸せに生きてという無責任な思いや願いなど狛治に対してない。
「勿論、二人で生きて勝ち残っていくためですよ。」
そう言うと腕に感じた肩の力が抜けたのがわかって、目を細めた。
「起きたら狛治がいなかったので探しに来たところでした。また朝の支度をしてからこちらに来ますね。」
笑顔で狛治にそういって、遅めの食事と湯浴みなどを済ませに部屋を出た。
桜華が部屋を出た後、名残惜しそうに体温を残した肩に触れて狛治は眉尻を下げて目を閉じた。