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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第7章 残されていた愛 繋がる愛




舞を武術に転換するという試みと、今までで一番の激しい稽古をしたこともあり、一気に疲労がきて昨夜は倒れるように寝込んでしまったらしい。


お天道様が高く上った頃目が覚めてみれば、夕べは疲労と筋肉の使いすぎで身体中が熱を酷くもったようで、手拭いが額や脇と置かれていた。


そして、狛治の姿がなく、探すために部屋を出るも音が何ひとつしない。


気配を辿って狛治がいる部屋の襖を開けると、明かりをつけて万年筆で何やら書いている群青色の着物を着た後ろ姿を見つけた。



「狛治、おはようございます。何をなさってるの?」



「昨日巧一さんから貰った指南書を今の字体で書き写している。

朱音さんに書くもの一式預かってきたんだ。」


まさか昨日の今日でそのようなことをしていると思ってもみなかった桜華は狛治に駆け寄った。

書いたであろう量をみれば、恐らく寝ないで没頭してたと解るほどで、しかも狛治の字も読みやすく印刷物のように達筆で添えてある図解や絵も分かりやすく、絵の才能もあったのかと思ってしまうほどのものだった。


「この量を一晩でされてたのですか?しかも字も絵も凄くお上手ですね!しかも解りやすい!」


喜びと感動で興奮してしまって思わず後ろから狛治を抱き締めてた。


「旧字体は読めないと聞いたから書いた方が互いに読めると思ったんだ。

役にたてそうで良かった。

俺のためでもあるしな。」


あまりの桜華の喜びように狛治も頬を綻ばせる。


「嬉しい!助かります。ありがとう。」


いっそう回した腕の力が強くなると、狛治は万年筆を持たない手で頭を撫でた。


「俺もこれらの呼吸を扱えるようにならねばいけないからな。

これらを読んでいるとなお、昨日の舞がどれほど精巧に練り上げられたものかがよく解る。

珠世とやらの所有する書物で考案者と創業者の情報が今から楽しみで仕方ないんだ。」


「本当にそうですね。でも不思議です。絵は父の書き方とそっくりで、字はわたしの筆跡とにてる気がするのです。」


指南書の文字を指で指しながらそう呟いた。


「それについて俺もいろいろ思うことがある。全てはあの女に会えば見えてくるはずだ。

今はこっちを覚えることに集中しよう。

いつ追っ手に見つかってもおかしくない。
俺たちはまだ強くならねばならない」


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