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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第7章 残されていた愛 繋がる愛



桜華の目の前で猗窩座の掌の筋肉でがっちりと止められている刀扇から血液が滴っている。

一瞬怯んだのをしっかり見ていた猗窩座が眉間にシワを寄せる。

しかし、すぐさま気を取り戻して集中し、カチっと刀扇の刃の向きを斜めに動かす。

肉が抉れた隙間からするりと抜いてもう片方の刀扇で間合いを取らせようと横に流す。

地面をけり上げ腹を浮かせてそれを除け、桜華の背後に回った。

火の粉が金環日食のように桜華の周りを散り、猗窩座の腹を狙うが、すぐに拳で止められる。


次の拳を間一髪で交わしてその勢いで後ろから反転し、猗窩座の顎を踵で蹴ろうとする。


「冠先割に似せてはいるが、血鬼術でなければ俺には届かんぞ」


「それは残念です。いけると思ったのですが…。」


起き上がるまでの隙を左の刀扇がうめる。

起き上がった瞬間右の刀扇が猗窩座の拳とかち合う。

組み合う形で二人が動きを止め、お互いを見合う。


「今まで剣技も体術も両方こなせる柱はあまり見なかった。

鍛えろ。お前の強みになるし、刀扇を失ったときに己を助ける術に成り得る」


「ご教授願います。」


「あぁ。勿論だ。だがそろそろ終わらねば……。彼らを遅くまで付き合わすわけにはいかん。

桜華はもう少しいけるか?」


そう気遣う顔は狛治そのものに見える優しいもの。

その問いに答える桜華も、息を整えるくらいの僅かな時間、彼女らしい表情に戻った。


「えぇ。一晩中踊れた舞でございますから。

あなたの拳が重すぎはしますけど……。」


「フッ。そうは思えない動きだったぞ。」


「流石だな。

ならば、最後は君が一番得意そうな"結"で締めよう。」


「承知しました。」



二人は互いに頷くと、再び距離を取り合い先ほどまでの闘志を見せた。




「巧一様。そろそろ最後にします。狛治の刀剣が素晴らしいものになるよう、確と御覧ください。」


「心得ました。」


二人は巧一の返事を聞くと再び構え、

同時に走り出した。

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