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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第7章 残されていた愛 繋がる愛



雰囲気が一変し静寂にピンとした緊張感がある

舞踊に闘気を混ぜず感情の起伏を無に


再び月の呼吸独特の息づかいに乗せて

まるで精霊が舞うように

速さは春風に吹かれる桜の花びらの如し


そこに、刀扇から生まれる三日月の斬撃が優しい光を放ちながらも鋭く斬り込んでいく。


見る者からは
罪を浄化させるような感情を揺さぶられるほどの美しさ


切れ味が鋭いのに罪を懺悔させるような心から入って込み上げてくるような暖かさの方が痛みより勝る。


それを受ける側は、来たもの降りかかったものをただただ障害物を避けるような錯覚に陥る。


命の危機を感じさせない。





「成る程。桜華そのものだ。

見た目に美しく暖かい斬撃で、攻撃を避けることなく受けさせてしまう。

素晴らしい……!

俺でも初めて出会う戦い方、

正に剣舞だ。

威圧が強いよりもこれはかえって恐ろしいやもしれん。

羅針が反応するか解りかねんな。

いいだろう。」



桜華はその言葉に反応するも静に視線を寄越しながら僅かに口角を上げるだけ。


それを合図にさらに猗窩座は戦うことへの高揚感が増し猟奇的に微笑んだ。





「術式展開 破壊殺・羅針!」


構えの体制で ダン!と地面を蹴破るように叩きつけると

そこを中心に雪の結晶を模した美しくも悍ましい白の線が光を放ちながら広がり

雪の結晶を象った羅針盤が完成すると怪しく紅梅色に輝き先端がキラキラと瞬くように光る。



羅針盤が展開されると桜華に向かって更に素早く駆け出して拳を振りかぶる。


桜華は向かってくる猗窩座を静かに見やり目を見開いて刀扇を振りかぶった。



黄色い光の粒子の大群と青い閃光が音を立てて激しくぶつかり合う。





その風圧が観衆として二人を見守る細手塚一家にまで届いた。



「代表………代表のおっしゃる通りでございました。

新当主になられた桜華様こそ、当主に相応しいお方でございますね……。」


巧一は、目を潤ませそう呟いた。
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