第7章 残されていた愛 繋がる愛
「狛治さん。今、あなたはまだ鬼の体で鬼の始祖と繋がれる状態でしょうか。
決して人に戻るまで桜華様から物理的にも精神的にも離れぬと誓えますか?」
「はい。一度離れれば、あの男と繋がり、居場所を特定され思考を読まれ俺は桜華と共に殺されるでしょう。
桜華も俺を信じて、桜華の知る範囲の機密を話してくれています。
彼女を守るためにも何があっても離れません。」
狛治は毅然とした態度で答えた。
その態度と、桜華がある程度家の秘密について教わった事を話す位の信頼があることから、狛治を信じた。
「そうですか。承知いたしました。
ここからは前代表が、雄一郎様と桜華様、そして、後継者となり得る武を極め信頼できる者にだけしか伝えてはならぬ事として仰せつかっております。
私も家内にも家族にも申しておりません。
この件の発言の権利はあなた方お二人に委ねられているからでございます。
決して鬼の始祖側の鬼、人間には流してはならぬ情報であります。」
桜華と狛治は巧一の真剣な表情に緊張感が増し、その先に話されることがいかに重要な話かを悟っていた。
「決して公言はいたしません。俺も既にあの男側にいる鬼を滅する立場にあります。
そして、それは一生変わることはないと二人に固くお約束します。」
狛治も既に呼吸法など、教えて貰っている上に、刀剣も自分の武術に合うようにと作って貰う事が決まっている。
そしていずれは鬼舞辻と黒死牟を倒すと誓っている以上、その剣技を知り身に付けたいと思うのは当然の事だ。
「承知いたしました。それをお聞きいたしまして安堵してその書物を託せます。
そして、お心の真がわかる桜華様がそこまで信頼されているのなら問題はないでしょう。
話を続けさせていただきます。」