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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第7章 残されていた愛 繋がる愛



居間から賑やかで楽しそうな声が聞こえてくる。

巧一の次女美紀、朱音の長女、明子が聞き耳を立てたり中を覗いては、笑いを堪えて楽しそうにしている。


「美紀、明子、手伝いなさい。桜華様がしてくださってるのですよ!」


と朱音が注意すると、明子が

「桜華様、いらしてください。」

と笑いながら呼んだ。

どういう状況かと怪訝な顔をして、明子の隣に並んで、障子の隙間から居間を覗いた。

「おぅおぅ、次期婿さんが立派に代表をお支え出来んのか俺様が見極めてやらぁ!!」

酔っぱらった悟が狛冶に突っかかっていた。

怒っている様子ではない。

俗にいううざ絡みというモノで、上半身脱ぎ捨てて相撲するかのように四股を踏んでいた。

「悟さん、何が気に障ったんですか???」

困惑した狛冶が若干その様子に引いている状況。

どうやら、酒の飲みすぎによる突然の変容だったようだ。

「前代表は凄くいい方だたんだ!!でも、死んじまった!
桜華様は偉い別嬪で、前代表よりも気高く美しくお優しい!!

君は鬼から人間に戻る途中なんだろ?

君が細手塚家が長年世話になった日神楽家に相応しい鬼が見極めてやらぁ!!」

「兄さんやめぇや!狛冶さんは鬼の精鋭だった奴だぞ?鬼狩りさんでも叶わない人に叶うわけないだろ!!」

次男の充が止めに入る。
父親衆はまた始まったと言わんばかりに高みの見物といったところだろうか。

楽しそうである。

「まぁまぁ、後でみんなで二人の決闘を見るんだろ?それで充分じゃないか。」

巧一の長男がそうなだめるも、

「勝つか負けるかじゃない!お互いの闘気や身のこなしで心もわかるってもんだ!

刀打つ時だってそうだろ?

俺は狛冶がどんな奴か知っときたいんだ!」

悟のその言葉に狛冶は立ち上がった。

「悟さん、そういうことなら喜んでお引き受けします。
家族の様に彼女を思ってくださるなら、それが礼儀だと思うので。」

狛冶も上を脱ぐ。
同時に彼の刺青のような体中の線も露になる。

しかし、狛冶は狛冶のまま。

闘気ではなく家族に向ける愛と似たような波動を感じる。

「じゃぁ、俺も!」

そう言って男衆は皆立ち上がった。

もはや、正月の親戚の集まりのような賑やかさだ。


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