第7章 残されていた愛 繋がる愛
「そうだったのですね。皆さん暖かくて……
なぜ代表ではなく、巧一様と朱音様と一度しかお会いしていない、ただでさえ理解されない鬼の狛治を連れたわたしを……」
「それは最初は驚きました。でも、彼はここにきた時、鬼が放つ殺気のようなものは全くなくて、異様な雰囲気の暗さは全く感じませんでした。
私も2回ほど鬼に遭遇したことがあるし、その鬼は異能でもない鬼だったけど、威圧感や殺気、危機感を骨の髄まで感じたの。
今初めて彼を見たけどそれらは全く感じませんでした。
上弦の鬼だからこそ理性が強い方だったのかもしれませんが
まるで、本当の人間かのように穏やかで素朴な人。
素敵な旦那様ですね。」
「有難うございます。まだ約束の段階で結婚はしていませんが……」
包むような穏やかな表情と声で、思わず涙が溢れそうになるも、鬼と遭遇したという話が気になって聞き返した。
「早紀さん、鬼と遭遇されたって、どうやって対処されたんですか?」
「頸をはねました。
ここも、家が少なく自然も多いから鬼にとって隠れやすいみたい。
小さい頃から剣術も教えてもらってるし、ここは刀鍛冶の里程ではないけど、年に数回は日輪刀を打つし、護身用の刀は家族みんな持っているのですよ。」
鍛冶職人も一般隊士ほどの力をつけていることを初めて見聞きして桜華は驚いていた。
鬼が出るということは鬼舞辻も近くに出没している事に等しい。
わたしたちに刀を打てば暫くは日輪刀を打つことはないと思うけど、やはりこれからお世話になることが多いかもしれないと思うと、刀鍛冶の里に移り住むよう言ってみようかと思っていた。