第7章 残されていた愛 繋がる愛
昼過ぎに作業場の出てみると、家族総出で作業にあたっていた。
桜華と同じ年頃の男女が数人。
昨日会うことが叶わなかった二人の子どもだと思った。
そのうちの一人、黒い手拭いを帽子のように結んでいる男が桜華に気づき声をかけてきた。
「こんにちは。日神楽様。よく眠れましたか?」
「はい。お陰さまで。昨夜は突然の訪問でご迷惑をお掛けしました。」
「いえいえ、お気になさらず。お陰さまで今日の朝食は日神楽様の話で持ちきりとなり、いつも以上に楽しいものになりました。
あ、俺は朱音の方の跡継ぎで悟といいます。」
「悟さんですね。
それはようございました。
手伝いもせず長々とゆっくりしてしまいました。
差し支えなければ、家事等お手伝いさせてください。」
「そんな!代表にそんなことをしていただいては……!
しかも、狛治様はどうされているのですか?」
「周りに影がなくてこちらには来れず、やむ無く鍛練に勤しんでおります。日没頃母屋に来ると言っておりました。
それに、突然来たのです。今までこのようにゆっくりと時間があるのは久方ぶりなので、暇をもて余しております。」
これでも、親の教育で普通の家庭が子どもに教えることは教えてもらっているし、使用人と一緒に家事をすることが多かった。
野宿(洞窟など)の中での原始人のような生活も何度も経験してきた。
今までが大変で気が抜けないものだったからこそ、何かしていないと落ち着かない。
結局、悟さんが折れて、巧一と朱音の家族分の洗濯物の取り込みと畑や花壇の草むしりをし、夕刻に一度狛治を迎えに行くことにし、朱音さんと女子で飯炊きをすることになった。