第7章 残されていた愛 繋がる愛
桜華が起きたのは昼前だった。
いつもの狛治らしく、あのあとはちゃんと体を綺麗にして寝巻きを着せられていた。
目を閉じたまま、穏やかな表情で寝息をたてている。
起こさないように起き上がって気づけば、シーツも情事で汚したものまで綺麗なものに取り替えられていた。
「そっか……そういう方でしたね。」
暫く定住していなかったので忘れていたことだが、狛治は道場で生活していた名残で家事全般が完璧に出きていた。
「有難うございます。」
紅梅色の髪を撫でているとゆっくりと目蓋が開いてきた。
優しく引き寄せられて抱き締められる。
匂いを嗅ぐように首筋に鼻をつけた。
「おはよう。いい匂いがする。
落ち着く………。」
と、またそのまま寝息をたてた。
母屋に挨拶と手伝いにいこうとしてたけどもう少しこうしていいかと、また狛治の頭を撫でた。
直接な日の光は入ってこないけど、夏が近い梅雨の晴れ間の空は明るい。
木の影が風でゆらゆら揺れる。
こんなに穏やかな時間は久しぶりすぎて、ずっと続けばいいのにと思ってそれを眺めていた。