第7章 残されていた愛 繋がる愛
桜華も願いや思いを込めた強い眼差しを目の前の狛治に向けた。
「共に罪を背負って生きる女の体もしっかりと焼き付けてください。
あなたを決して一人にはさせない。鬼の心に戻したりしません。」
「だから、苦しい顔はしないで…」
右の手を"猗窩座"の額から頬の下に伸びる弧を描く藍色になぞるように触れ、少しばかり恥じらいを見せて一歩後ろに下がった。
女として少し高いくらいの身長
整った端麗な、でも真の強さを思わせる顔立ち
目の前の男に対する愛の決意に満ちた目
形のよい少し大きめの胸に、少し筋肉質なしまった腰から尻にかけた曲線
大きなものも混じる傷だらけの拷問の消えない傷
全てが月に明かりに照らされて精霊のような妖艷さ。
「………綺麗だ。」
そう呟く"猗窩座"の色が強いからだも
武道家の鬼と言わしめる、戦いや強さに全てをかけた長い年月を重ねた逞しい筋肉の造形
それを引き立てるようにはしる、幾重にも描かれた罪人の意味を持つ、悲しみと絶望の懺悔の線が、刻まれた体
でも、誰かを守るために強くなる約束を無意識で追い続けた優しく実直で一途な男。
人の心を思い出して、わたしを守ってくれた体そのもの
「狛治も、猗窩座も全てが綺麗で優しい。」
再び歩み寄ってその頸に腕をまわした。
心の奥底の悲しみと苦しさから
縋るように揺れてる字が刻まれた瞳が桜華を見つめる。
その眼差しに引き込まれるように唇を重ねた。
狛治はキツいくらいに桜華を抱き締めた。