第7章 残されていた愛 繋がる愛
暫くして腕から唇が離れると、熱に浮かされたままで藍色の指が自身の血を吸う桜華の顎を優しく掬う。
そのまま紅梅色の長い睫が薄目に瞳を隠し、顎を引き寄せて一度触れるだけの口づけ落としては、すぐに深く口づける。
互いに探り合うように見つめ合って、求め合うように舌を絡めた。
酸欠で頭がくらくらしてくると、混じったのみ込めない唾液が顎を伝う。
「……桜華…」
すかさず狛治がそれを舐めとり、頸筋を甘く噛んで舌を這わした。
「…あぁ……っ…狛治…」
名を呼ぶと熱を孕んだ顔で射ぬくように見つめられる。
「あぁ。いいな……名前だけでも思い出せてよかった。」
「気分がいい。」
低く甘い声。
全てが桜華の脳と神経を麻痺させる。
桜華を横抱きに抱えたまま狛治は立ち上がり、後ろの寝室へと進み足で障子を開く。
布団に横たえ、後ろ手で障子を閉める。
月光と庭木の影に紅梅色の髪と、ギラつく眼光がチラリと見えた。
その恐ろしく妖艶で美しい様に心臓の音がいっそうざわめく。
「さっき、この線が"もうすぐ無くなるから"と言ったな?」
「……はい。」
肘で状態を起こし自身を見つめる桜華を跨ぐようにして目の前に座り視線を合わせる。
「名残惜しいのか?」
と、情欲を孕んだ挑発する表情で、顎を掬い見つめる様は獰猛で妖艷な鬼の顔。
「そうではないと……言える自身はありません。
猗窩座も、鬼の狛治も、人間の狛治も、全部があなただから」
狛治は目を見開いた。
そしてすぐに色香の強い笑みを浮かべ口づけた。
「なら、目に焼き付けてくれ。この命と魂で重ねすぎた罪を表す身体中の線を………
俺が鬼で犯した罪、奪った命の全ての感情が完全に消えにてしまわないように」
射ぬくような、心の底に悲しみや懺悔の思いを忍ばせた鋭い目で見つめたまま、
桜華の手を引いて立たせ、噛みつくように深く口づけながら器用に自身の着物を脱ぎ払った。
意図が解った桜華も着物を脱ぎ始めると、驚いた狛治は口づけを離した。
「何を…」