第2章 無意識の中で
コイツがいると調子が狂う。
時々はじめてじゃない映像に悩まされることがある。
そいつが出てきては一人で混乱して桜華が心配そうに見てるのも居心地がわるい。
早く鍛練に集中できるようになりたいものだ。
あぁ。そう言えば鬼になったときの記憶しかない俺はこれ程に誰かと共に時間をすごしたことなどなかった。
鬼同士が馴れ合うことはない。
変に居心地がいいとそこに邪念が出てきて楽を求めてしまう。
俺はまだ強くならなければならない
俺はまだ強くならなければならない
弱者は嫌いだ。
その弱者であるはずの女を助けた自分の心は鍛練が足りてない証なのか……。
なのに目の前の女を放っておけないのはなぜできない。
姿があるだけで、気が緩む感じはなぜ起きる?
こんな心情の動きは許されるべきものではない。
なのに、このまま手放すことが出来ないのだ。
こんな堂々巡りな問答が頭から抜けない。
苦しいはずなのに
この状況から逃れたくないこの想いは
鬼として生きる俺には
決して許される安寧ではないだろう。