第7章 残されていた愛 繋がる愛
門を潜ると、母屋と他に離が2つと作業場がひとつ。
母屋に巧一の家族が住まい、ひとつの離は朱音の家族、そしてあとひとつはもともとは修行中の職人の住まいとなっていたが現在は後継者も減って、巧一と朱音それぞれの屋敷に住んでいるそうであまり使われていないという。
猗窩座と桜華は巧一に母屋の方へ案内されて客間へと入れられた。
それぞれの家族たちは離れにいき、巧一と朱音と4人で座卓を挟んで座った。
桜華は、襲撃にあった後からの出来事から、猗窩座と出会い今に至るまでを話した。
二人とも真剣に聞いて、時々涙まで流し、朱音が桜華を娘にするように抱き寄せて背を擦ってくれた。
そして涙を浮かべながら、
「そのような過酷な状況で生き抜かれてこられたのですね。
死なないで生き抜いてくれて、またこうしてお会いできて光栄です。」
と言葉をかけた。
そして、猗窩座のことも人間として接し、桜華を生かし、助け、寄り添っている事実に感謝の言葉をかける。
今まで助け合って生きてきたことを受け止めてもらえて、認めてくれる人がいて、
桜華たちは逃げる、逃げぬくと決めてから、ひと時の安らぎを感じていた。
そして、警察などに身元確認をしたのは、巧一と朱音、そして、産屋敷当主だったと聞かされ、わたしだけが遺体も血液も残っていなかったので行方不明とされていたという。
そして、産屋敷現当主であり、幼いころ、兄と弟妹と共に交流のあった産屋敷耀哉は一時期鬼殺隊の総力を尽くして桜華の事を探していたという。
しかし日神楽家の援助が突然途絶えたことによる痛手で戦力、組織、その他の事業の維持が難しくなり1年で捜査打ち切り。
以来、細手塚家との連絡も途絶えたという。
その時には産屋敷耀哉の顔には一族の呪いで痣が顔にでき始めていたという。
そこまで話し終えたところで、朱音が奥の部屋にひっそりと入っていった。