第7章 残されていた愛 繋がる愛
「桜華様!!桜華様!!本当に桜華様なのですね?!」
泣きながら、わたしの顔を包んでしっかり見ている朱音様の後ろから、
弟で現鍛冶職人棟梁の巧一が出てきて、驚いた様子で涙を流していた。
「桜華様.....、生きて.....いらっしゃった...。」
二人があまりにもなくものだから、わたしも感極まって涙が溢れた。
「巧一様、朱音様、ご無事で何よりでございました。
こちらに来ることが遅れて、便りも出せず、誠に申し訳ございませんでした。」
顔を包む手を包むように掴みながら、朱音様の目を見た。
「そんなことはいいのです!生きていらしただけで、わたしたちは嬉しゅうございます。
ささ、中にお入り下さい。
あ.....、そちらの方は..........もしや...。」
少し後ろに下がっていた猗窩座が面をつけたまま頭を下げる。
二人は彼が人間でないことを雰囲気で感じ取って、恐怖と戸惑いの波動に変わった。
「彼は命の恩人であり、こちらにこれるまでにわたしの看病や面倒を見てくれた大切な人です。一緒に入れてはいただけませんか?」
猗窩座は、さらに深々と頭を下げた。
そして
「お二人がお察しいただいている通りです。
彼女と出会い、半年の間、共に協力し合い生きてきました。
これからも彼女を支えていく覚悟でこちらに伺いました。」
そういって、もう一度頭をあげて、面を取り、二人を見た後、また深々と頭を下げた。
朱音様と巧一様は顔を見合わせた。
二人が頷きあった後巧一様が優しい表情になり
「事情は中でお伺いしましょう。桜華様の命の恩人で在らされるのでしたら恐れる必要などない。
どうぞ、上がってください。」
そう言ってくださり、わたしたちは屋敷に入った。
門前払いを覚悟してきたのに、実際は真逆で、
鬼である猗窩座を屋敷に入れてくださったことだけで嬉しかった。
そして
猗窩座が二人にわたしを支えていく覚悟だと言ってくれた言葉が凄く嬉しかった。