第7章 残されていた愛 繋がる愛
今度は箸を持ったまま固まってしまった。
「猗窩座?」
暫くして猗窩座頬に一筋の涙が伝う。
「美味いな………」
その感想の言葉の重みが想定してたよりも重くて、わたしの涙腺も熱くなる。
「そうですか。わたしも今の猗窩座を見てて嬉しいです。」
「有り難う。なんだか懐かしい…暖かい……。」
それからは一口一口を味わうようにして食べながら、二人で涙を流して笑いあって食事をした。
これからは、わたしの血を飲むのは『生きるため』から『人間に戻るため』へと目的が変わった。
そんな瞬間だ。
わたしたちは誰も成し得なかったことをやってのけてる。
それだけでも充分すぎるほどの奇跡。
出来るだけ、強さを保ったまま、五体満足で障がいを持つことなく人間に戻って欲しい。
そんなことを願いながら、大事に箸を進めた。
何もかもが当たり前じゃない
それを一番に痛感したのかもしれない
そんな食事の時間を終えて
夕刻の刀鍛冶一家への訪問時間を待った。